2010
05.16

Steve JobsがAppleのウェブサイトに、「Thoughts on Flash」という長文を発表した。iPhoneやiPadでFlashをサポートしないAppleに対してしびれを切らしたAdobeは、iPhone向けFlashの開発をあきらめた、訴える!と鼻息が荒いが、これに対する反論が6つのポイントで綴られている。

読んだ感想としては、両社ともにそれぞれの企業のユーザー、開発者を大切にしていて、それ故の主張の違いが現れているように感じた。つまり、言い分としてはどっちもどっち。しかしAdobeにはデバイスがなく、Appleにはデバイスがあってしかも成功を収めている点が大きな違いになる。

印象的だったのは、Steve Jobsは「Mobile Era」という言葉を持ち出してきて、Flashを「PCとマウスの過去の時代のもの」と指摘している点。WebKitやタッチスクリーンのトレンドは、半分以上Appleが作り上げたスタンダードであり、他の端末メーカーが追いかけている。つまり支持していることになる。なぜAdobeがFlashを進化させないのか、という疑問をぶつけている。

ただ、Flashのダメさについて、実質的な比較はビデオ再生とタッチ対応の2点が中心で、そこまで大きな問題か、といわれると自信がない。ただアプリ開発ツールについては、AppleがiPhoneのプラットホームの進化をコントロールできなくなる事を理由に嫌っている点は、ビジネスの要素が見え隠れする。

Twitterで全文を読むのが大変!ということだったので、簡単に和訳しました。そして論点となるサマリーはこちら。

1. オープン性について

Appleの姿勢をAdobeは閉鎖的だと指摘するが、そもそもAdobe Flashがオープンではないという主張。AppleもiPhone OS系では同様だが、多くのウェブ標準技術を採用していて、WebKit開発などはオープンソースで行い、Microsoft以外の全てのスマートフォンに採用されていると指摘している。

2. ウェブの全てについて

AdobeはiPhoneがFlashに対応しないことによって、「ウェブの全てにアクセスできない」と繰り返し指摘し、その理由としてウェブにある75%のビデオがFlashで動いているから、としている。しかしYouTubeをはじめとした多くのメディアはiPhoneなどのモバイルデバイスで動くH.264に対応していると反論している。

3. 信頼できるセキュリティとパフォーマンス

シマンテックのレポートでは2009年にセキュリティ上最も悪かったモノの1つにFlashを挙げ、Macがクラッシュする最大の原因がFlashであると指摘。

4. バッテリーの持ち

ビデオ再生時のバッテリーについて、ハードウエアでデコードできるH.264は省電力だが、ソフトデコードに頼らざるを得ないFlashは半分以下の時間しか再生できない。FlashがH.264に対応しても、既存のコンテンツがこれに対応していないから、エンコードし直すべきだが、するとFlashがいらなくなる、と指摘。

5. タッチについて

FlashはマウスとPCを前提としたデザインで、指を使ったタッチスクリーン向けではない。書き直すなら、よりモダンなHTML5やCSS、JavaScriptを選べばいいじゃないか、という指摘。

6. 最も重要な理由

開発者とプラットホームの間にサードパーティーが挟まると、プラットホームの進化のアドバンテージを開発者がダイレクトに享受できなくなる、という指摘。

Flashについての見解

AppleはAdobeと長い関係を持ってきた。事実、我々がAdobeの創業者に出会ったのは、彼らがおなじみのガレージにいた頃だった。Appleは彼らにとって最初の大きな顧客であり、PostScriptを新しいLaserwriterプリンタに利用する契約を結んだ。AppleはAdobeの20%前後の投資を長年にわたって行ってきた。2つの会社は、デスクトップパブリッシングのパイオニアとなるべく、非常に密接にやってきたし、とても良い時間を過ごしてきた。この黄金時代をきっかけに、我々は別々の道をたどった。Appleは臨死体験をし、AdobeはAcrobat製品によってビジネス市場を描いてきた。今日2つの会社は、クリエイティブユーザーに対して、依然協業している。Macユーザーの半分近くはAdobe Creative Suiteを購入している。しかしもはや共通の興味はわずかしかない。

ユーザーと批評家にとって、なぜAppleがiPhone、iPod、iPadにFlashを認めないのか、よりよく理解するために、私は、Adobe Flashに関する我々の考えをメモしたい。Adobeは我々の決定を、App Storeを守りたい、というビジネスを最優先にしたものだと見なした。しかし現実的には、技術的な問題に基づいた決定である。AdobeはAppleを閉鎖的だと断言する。そしてFlashはオープンだという。しかし事実として、逆が正しい。説明させて欲しい。

まずはじめに「オープン」であることについて。

Adobe Flashは100%、Adobeが独占している。FlashはAdobeからのみ利用可能であり、Adobeは将来の発展や価格設定などが、唯一認められている存在だ。AdobeのFlash製品が広く流通している間は、Adobeが完全にコントロールし、またAdobeからのみ入手可能なうちは、オープンではないということだ。ほぼ完全に明確である、Flashが閉鎖的なシステムなことが。

Appleもまた、多くの製品を独占している。iPhone、iPod、iPadのOSを独占しているにも関わらず、我々はウェブに関連する標準技術はオープンにすべきだと強く信じている。Flashを使うことよりもむしろ、AppleがHTML5やCSS、JavaScriptという全てオープンな技術を採用することだ。Appleのモバイルデバイスは全て高性能、低消費電力で標準技術が動作するように出荷されている。HTML5は、AppleとGoogleやその他多くが採用した新しいウェブ標準だ。ウェブ開発者は先進的なグラフィックス、フォント、アニメーション、画面効果を、Flashのようなサードパーティーのブラウザ・プラグインを利用せずに作ることができる。HTML5は完全にオープンで、標準化団体がコントロールしている。Appleはその団体のメンバーである。

Appleは絶えずオープンなウェブ標準を作っている。例えばAppleは、小さなオープンソースプロジェクトをスタートし、Safariウェブブラウザの心臓部である完全にオープンソースなHTML5のレンダリングエンジン「WebKit」を作り出した。WebKitは広く採用された。GoogleはAndroidブラウザとして利用し、Palm、Nokiaも使っている。RIM(BlackBerry)もWebKitを使うことをアナウンスしている。マイクロソフトを除くほぼ全てのスマートフォンがWebKitを使っている。WebKitの技術はオープンに開発され、Appleはモバイルブラウザの標準を規定した。

次に、「ウェブの全て」について。

Adobeは繰り返し、Appleのモバイルデバイスは「ウェブの全て」にアクセスができないと言う。なぜならウェブの75%のビデオがFlashで動いているからだ。彼らは、ほぼ全てのビデオが、iPhone、iPod、iPadで見られるよりモダンなH.264フォーマットで利用できることを言わないのか。ウェブ上のビデオの40%を占めるYouTubeは、Appleのモバイルデバイスにバンドルされるアプリとして輝いている。iPadはおそらく、ビデオを見つけ、視聴するYouTubeでのベストな体験を提供している。Vimeo、Netflix、Facebook、ABC、CBS、CNN、MSNBC、Fox News、ESPN、NPR、Time、The New York Times、The Wall Street Journal、Sports Illustrated、People、National Gegraphic、さらに、さらにたくさんのビデオも見られる。iPhone、iPod、iPadユーザーは、ビデオを見逃すことはないのだ。

また別のAdobeの主張は、AppleのデバイスはFlashのゲームができないというものだ。これはその通りだ。幸いにも、50000本以上のゲームやエンターテインメント・タイトルがApple Storeにあり、その多くは無料だ。iPhone、iPod、iPadは、世界にある他のどんなプラットホームよりも、ゲームが存在しているのだ。

3点目は、信頼できるセキュリティとパフォーマンスについて。

シマンテックは、2009年、セキュリティ上、最も悪いものの1つに、Flashを挙げた。我々はまた、Macがクラッシュする最大の理由がFlashであることを直接的に知っている。我々は、Adobeと問題解決に向けて働きかけてきたが、彼らは数年間固執してきた。我々は、Flashを加えることによって、iPhone、iPod、iPadの信頼性とセキュリティを損ないたくない。

4点目はバッテリーの持ちについて。

ビデオ再生時にバッテリーを長時間持たせるためには、モバイルデバイスはハードウエアでビデオをデコードする必要がある。ソフトウエアでデコードするとより多くの電力を必要とする。最新のモバイルデバイスに使われている多くのチップには、H.264と呼ばれるデコーダーが内蔵されている。これは全てのBlu-ray DVDプレーヤーで使われ、Apple、Google(YouTube)、Vimeo、Netflixなどの多くの企業に作用されている、業界標準だ。

FlashがH.264をサポートを追加したが、Flashウェブサイトのビデオのほとんどは依然として、モバイル・チップで処理できずソフトウエアを使わなければならないデコーダーを必要とする。この違いは著しい。例えばiPhoneでH.264ビデオを10時間まで再生できるが、ソフトウエアでデコードすると、5時間再生する前に、バッテリーを完全に使い切る。

H.264でこれらのビデオをエンコードし直すと、Flashを使う必要がなくなる。これらはAppleのSafariやGoogle Chrome上で、プラグインを使うことなく完全に再生できる。そしてiPhone、iPod、iPadにとってすばらしいことだ。

5点目はタッチについて。

Flashはマウスを使うPCを前提にデザインされており、指を使ったタッチスクリーン向けではない。例えば、多くのFlashウェブサイトはマウスを特定の場所に載せたときに、メニューやそのほかの要素がポップアップする際に、ロールオーバーに頼っている。Appleの革命的なマルチタッチインターフェイスはマウスを使わないし、ロールオーバーという概念はない。多くのFlashウェブサイトはタッチデバイス向けに書き直さなければならない。もし開発者がFlashウェブサイトを書き直す必要があるなら、よりモダンなHTML5やCSS、JavaScriptをなぜ選ばないのか。

iPhone、iPod、iPadでFlashが動いたとしても、多くのFlashウェブサイトはタッチデバイス向けに書き直す必要があるという問題の解決にはならないだろう。

6点目は、最も重要な理由だ。

Flashが閉鎖的で独占的である、Flashに技術的な短所がある、タッチデバイスをサポートしないという事実に並んで、我々がiPhone、iPod、iPadを認めないより重要な理由がある。我々はビデオ再生とウェブのインタラクティブなコンテンツのためにFlashを採用するマイナス面を議論してきた。しかしAdobeはまた、開発者に対して我々のモバイルデバイスで動作するアプリをFlashで作るよう求めている。

我々はサードパーティーのソフトウエア・レイヤーがプラットホームと開発者の間に入ることで、低水準のアプリが生まれまたプラットホームの強化と進化を遅らせる結果に行き着くことを、苦い経験から知っている。もし開発者がサードパーティーの開発環境とツールに頼って成長すると、開発者は、もしもそのサードパーティーが最新の機能を採用したときにのみ、強化されたプラットホームのメリットを活用できるようになる。もしも我々の顧客に最新の機能を提供しない場合、サードパーティーの決定に対して寛容になるわけにはいかないのだ。

もしサードパーティーが、クロスプラットホーム開発が可能なツールを提供する場合は、よりいっそう望ましくないことになる。サードパーティーは、彼らがサポートするプラットホームの全てで利用可能にならないかぎり、1つのプラットホームの最新機能を採用しないだろう。従って開発者は最低限の共通技術にしかアクセスできないのだ。繰り返す。我々は、イノベーションや機能向上が利用できない開発者の結末を、認めるわけにはいかない。我々と競合するプラットホームには、我々のようなイノベーションや機能向上がないからだ。

Flashはクロスプラットホームの開発ツールだ。Adobeの目標は、開発者がiPhone、iPod、iPadの最も優れたアプリを開発する手助けになることではない。クロスプラットホーム開発を手助けすることが目標なのだ。そしてAdobeはひどく遅く、Appleのプラットホームの進化を取り入れている。例えば、Mac OS Xは10年近く前から出荷されているにもかかわらず、AdobeはCS5を出荷した数週間前にやっと、Cocoaを採用した。AdobeはMac OS Xに完全対応した最後の主要なサードパーティーだった。

我々のモチベーションはシンプルだ。我々は開発者に対して、最も先進的でイノベーションがあるプラットホームを提供することだ。そして開発者には直接的にプラットホームを支えて欲しいし、世界が見たこともないすばらしいアプリを作り出して欲しい。我々はプラットホーム向上を続けていくからこそ、デベロッパーは、さらに驚くべき、パワフルで、楽しく、使いやすいアプリを作り出せるのだ。全員が勝つ。我々は、すばらしいアプリを我々は手にしているから、より多くのデバイスを売れる。開発者がより広い聴衆やユーザーへリーチする。ユーザーが他のどんなプラットホームよりもすばらしく広いアプリによって、継続的に楽しんでいくのだ。

結論。

FlashはPCとマウスの時代に作られた。FlashはAdobeにとって非常に成功をもたらした。また我々も、なぜ彼らがPCを超えてFlashを推進したいのか、理解することができる。しかしモバイル時代は、より性能の低電力のデバイス、タッチインターフェイス、ウェブ標準の時代だ。全ての領域で、Flashは満たないのだ。

メディアが雪崩のようにAppleのモバイルデバイス向けに彼らのコンテンツを提供しているのは、ビデオやウェブコンテンツを見るのに、Flashはこれ以上必要がないことを例示している。そして20万本のアプリがAppleのApp Storeに存在することは、数万もの開発者がグラフィカルな、ゲームを含むアプリを作るのにFlashが必要でないことを証明している。

モバイル時代に、HTML5のような新しいオープン・スタンダードが作られ、PCを含むモバイルデバイスにおいて勝利を収めるだろう。おそらくAdobeは将来において、過去の残り物のためにAppleのあら探しをするよりも、HTML5を作るすばらしいツールを作ることに、フォーカスすべきだ。

スティーブ・ジョブズ
2010年4月

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  1. […] This post was mentioned on Twitter by Google 日本語入力. Google 日本語入力 said: Sputh.net » FLASHについての見解(日本語版): HTML5は、AppleとGoogleやその他多くが採用した新しいウェブ標準だ。ウェブ開発者は先進的なグラフィックス、フォント、アニメーション、画面効果を、Flas… http://bit.ly/dukUQU […]

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